絶対的幸福論(another ver.)が心が痛くなるほど良い
まさかこの曲について書くことになるとは思わなかった。
なぜならこの曲は好きではなかったから。
絶対的な愛情は限りなくファンタジーに見える。
だから、それを唐突に熱弁されても理解ができない。
「君がいるから僕は強くなれた」とか「守りぬくと誓う」なんて全然わからない。
なんでお前いきなりそんな気持ちになってるんだ。
人生は辛いことも多いし、男女で向き合えば性欲だって湧くだろう。
にもかかわらず「愛してる 愛してる 愛してる」と綺麗な物だけ並べられても、そんなのは「聞き飽きた言葉遊び」だ。
本家MVだって白を基調とした明るい空間で幸せを表現しながら歌うといった趣向で
お前らの人生そんなに明るいのか!と思ったくらいだ。
「幸せにしてあげたい」
「君のそばにいたい」
「いつまでも離さないよ」
結構、結構。それらは間違いなく素晴らしい感情だ。
でもそんなのは当たり前じゃないか。砂糖は甘い、以上!何の深みも無い曲だ。
ずっとそう感じていた。GRACEⅢのラストですらそう思っていた。
なので心から謝ります。本当に申し訳ありませんでした。
どうして急に謝罪する羽目になったのか、それが本題だ。
NANA CLIPS 8に収録されている絶対的幸福論(another ver.)がとても良い。
本家MVとは打って変わって、仄暗い海をバックに歌っている。波間の向こうには煙を吐く煙突。工業地帯。空は鈍色。
羽織っている厚手のニットは風に揺れていて少し寒そうだ。
これだけで全部わかる。
今まで辛い経験もしてきたということがわかる。
だから今幸せを歌うことの意味がわかる。
誰かを幸せにしたいのがわかるし
誰かのそばにいたいのがわかる。
愛しているのがわかる。
パワゲほど時間はかからなかったが、絶対的幸福論が自分の中で作品として完成した。
次に生で聴く機会があればボロボロ泣くだろう。
これはいい歌だ。